ディスクシステム資料



◆誤植が20年以上! 『きね子II』の発売日 (書き換え開始日)


これはディスクシステムソフトに限ったことではくレトロゲーム全般に言えることなのかもしれませんが、 少なくとも通常のファミコンカセットのソフトに比べると情報が少ないためか、 ディスクシステムソフトの発売日・書き換え開始日の情報が間違って掲載されているレトロゲームカタログ本が大多数。 というか、全部かも?
…そもそもパッケージと書き換えで併売していたソフトは、書き換え日のほうの情報自体が大抵未掲載。

レトロゲームの情報のベースとなっているのは恐らくは90年代に編纂された『大技林』でしょう。 いやその前にアスキーから刊行された『ゲーム年鑑』のほうかも。どちらもデータベース内容がだいたい同じ。

データベースには間違いがいろいろあり、それが長きに渡り訂正されることなく、そのまま他の書籍などに継続されてしまっています。 古いゲームだし資料も少なく調査もしないのでしょう…


そのうち、ディスクシステムのソフトで発売日情報の間違いの代表格といえるのが、 エッガーランド 創造への旅立ちや、今回取り上げる きね子II

これらも20年以上に渡って発売日(書き換え販売の開始日)が、誤植されたまま訂正されていません。


大技林をはじめ各種レトロゲーム関連本やWikipediaをはじめとするWebサイトの情報では きね子IIの発売日は1987年5月1日 となっていますが、 実際の発売日 1987年3月1日 です。




きね子IIの発売日。 当初、前作であるきね子1の説明書での予告や、 各種ゲーム雑誌に掲載された発売日は、 2月15日の予定でした。




これが、発売予定日の直前になり、3月1日に延期


ファミ通 1987年No.5掲載の、2月20日付ディスクライター情報 (↑クリックで拡大できます)
きね子2は、3月1日に延期されています。


そしてその次の号。


ファミ通のNo.6より。3月6日付のディスクライター書き替え情報
きね子IIは現在書き換え中のソフトに混じってます。無事に書き換えが開始されているようです。




ちなみに4月3日発表の、ディスクライター書き替え売り上げTOP15。きね子IIは4位。変わり種の渋い動画パズルゲームだけど人気はあったみたい。
順位はともかく、売上データがあるということで3月には発売されていた裏付けになりますね。
※4月3日は発表時期のものですが、カセット&パッケージ側の売り上げデータを見るにその集計期間大体1か月程度前のようです。 例えば2月20日付のとき、売上リストに初登場したソフトは、ドラクエ2 (1月26日発売)、ウルトラマン(1月29日)。 これからすると、4月3日のリストは3月上旬頃のデータと思われます。 初登場のナゾラーランドは3月6日書き換え開始、同じく初登場のきね子2は3月1日書き換え開始。



なお、当時の任天堂側から販売店への指示書からも、きね子IIの発売日が確認できます。

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 資料提供:rimu0926 さん。 ありがとうございます!
※左の図はクリックすることで拡大表示できます。


こちらはディスクライター用のソフトパック(※)の回収指示書です。
※ソフトパック…ディスクシステムのゲームソフトデータが入っている特殊なカセットパック。 これをディスクライターにセットして書き換えを行うことで、そのパックの中のゲームソフトがディスクカードに書き込まれる。

記載のソフトの書き換えサービスを終了するので、そのゲームのソフトパックを返してね、という 任天堂からディスクライター設置店への通達です。
これには回収対象ソフトが書き換えを開始したときの日付が記載されているのですが、 ここにきね子IIの書き換え開始日も記載されていました。

昭和62年3月1日でした。



ついでに。実際の3月に書き換えが行われた証拠品を。

それは私が持っているディスクカードです。 カード内にはディスクライターで書き換えを行った日が記録されています。
ボリュームラベルという、PCのファイルで言うところのプロパティ部分にあたるところです。
ここの情報を確認すると、1987年3月17日にきね子IIへ書き換えていました


(ボリュームラベル内に記録されているディスクカード内の各種情報。FDS Study で確認)

これを確認することでも、きね子IIの書換販売は 5月ではなく3月には既に行われていたことがわかります。

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結論。


× きね子II:1987.5.1発売(書換開始)×



○ きね子II:1987.3.1発売(書換開始)○








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