東京書籍(後のトンキンハウス)は1987年に『いきなりミュージシャン』という音楽ソフトをファミコンで発売しています。
これを作曲に特化したようなソフトが、その数カ月後 (1987/10/30) にリリースされた
ディスクシステムの『ファミリーコンポーザー』です。
もっとも作曲ソフトとはいえ、自分で自由に作れるのはメロディだけ。 伴奏のほうはコード(和音パターン)を指定後、伴奏パターンをプリセットから選択して組み合わせていく、というものでした。 伴奏やリズムまで全部を自由に作るとなると、作曲の経験のないユーザーからすればかなり敷居が高くなります。 なのでユーザーはメロディだけを担当してあとはコンピューターに任せる、といった手法にしたのでしょう。 ……ファミコンというデータ容量が小さい媒体では、全部のパートを打ち込んで記録するのは難しいという 身も蓋もない事情がありそうな気もしますけれども。 全部を作れるようにすると、ファミコンのメモリ(RAM)もディスクカードの記録可能容量も足りなさそうだなあ。 さて、この作曲専門ソフト。 その機能を用いた『ファミリーコンポーザー大賞作曲コンテスト』を 当ソフトの発売元である東京書籍が主催し、マル勝ファミコン、アルファレコード、月刊宝島 などの協賛で2回開催しました。 応募は年齢別に3部門。 A部門:小学生以下 B部門:中学生 C部門:高校生以上 入賞は、大賞10万円、部門別グランプリ(記念品)、準グランプリ、特別賞といった各賞に加え、 さらに優秀作品を集めてアルファレコード(GMOレーベル)からのレコード化も計画されていました。 なお応募手段については、ディスクカードそのものを送るわけではなく、 ソフトで作曲した音楽をオーディオカセットテープに録音して送付するというものでした。 ……作曲したデータをセーブしたディスクカードをそのまま送り付けてしまった人がきっと一人くらいはいたはず! ……ち、違う! 私じゃない! |
「コンテストが成立するほどの作品が送られてくるか不安だった」(東京書籍・宮田氏)
という主催者の弱気な発言は杞憂に終わり、無事300近い応募があったそう。
ここから一次審査を通過したのは30曲。さらに二次審査、ラサール石井さんを交えての最終審査を経て、 大賞ほか各賞が決定。
結果発表は、月間宝島の1988年4月号(右の写真)やマル勝ファミコン紙で行われました。 そのほか雑誌広告にも受賞作品と受賞者名が掲載されました。
受賞者には東京書籍から副賞のほか、ラサール石井さんのサインも贈られたそうです。 ただ残念ながら、優秀作品をレコード化する計画は実現しなかったそうです。 (しなちーく さん、情報ありがとうございます! なんと当コンテストの受賞者のお一人です) GMOレーベルはこの年の夏にお家騒動があったそうなので、 それどころじゃなくなったのかもしれません。 |
コンテスト開催のお知らせと募集要項 (クリックで拡大) こちらは結果発表の広告版 (クリックで拡大) 月間宝島1988年4月号。 当コンテストの結果が掲載されています。 (クリックで拡大) |