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古めのMIDI音源を聞き比べてみよう 1

汎用MIDI曲の、音量バランス


2019年現在では実用性のない、骨董的な資料ページ、なのかもしれません…

MIDIファイルは単独では単なる楽譜ファイルです。これを曲として聴くには、MIDI音源 (MIDIシンセ) が必要です。
そして音源は製品により音色・バランスはみな違います。使う音源によって曲の鳴り方は大きく異なります。
なのでその音源専用に調整された曲でないと作者の意図は反映されず、やっかい。

そんなわけで、同じMIDIファイルでも音源によって聴こえ方が違うのね、という参考ページです。

今回使うMIDIファイルです。

ドラゴンボールのエンディング曲「ロマンチックあげるよ」の中盤パートのみです。
曲全体を作ろうとするとすごい時間がかかるので、今回はとりあえずワンフレーズほどの10秒ちょっと。

MIDI音源はWindows10に標準搭載されている「Microsoft GS Wavetable Synth」を使って作っています。
この標準MIDI音源はWindowsXP?以降のOSに標準搭載されています。
ところが実のところOSによって性能が細かく異なるようで、聴こえ方が違ってくるようです。
新しいOSの音源になるほど、なぜか性能ダウン。
あなたのPCではどんな鳴り方をしていますか?


Microsoft GS
WavetableSynth
まずはWindows標準の音源。通称MSGS。サンプルMIDI曲はこれ用に作ったので、これが比較のベースとなるバランスです。 といっても、細かく作り込むと他の音源でのバランスの崩れ方が大きくなるので、 かなり大雑把で軽めの調整に留めています。
Roland
INVSC
(VSC3.2)
Microsoft GS Wavetable Synth が少し豪華になった感じ。 そもそもMicrosoft GS〜自体がRolandの音源を元に作られているそうなので、似ているのも納得。
このVSCはソフトウェア音源「VSC-88」の最終版で、以前VSC-MP1として販売されていたものと音源部分は同一です。 現在はVSC自体の単独販売は無く、作曲ソフトのSinger Song WriterやAbilityシリーズに内臓されています。
Roland
SC-88Pro
1990年代後半に登場した名音源。個人向けの製品だがプロでも愛用者がいたようです。 通信カラオケの音源部にもこれが使用されている、ものもあるらしい。
今回は互換性とバランスをみるために汎用MIDIを鳴らしていますが、このSC-88Pro専用の音色等を用い、 専用エフェクト等を駆使してきちんと調整すれば化けます。
SC-88Pro
SC-55モード
ついでに、SC-55/mkIIの再現モードでもお試し。 SC-88Proそのままの音よりも機械的な感じになりますが、同じSC機種なので他の音源ほどのバランスの狂いは生じませんでした。
Roland
SOUND Canvas VA
2015年ごろに登場した、GS外部音源の究極再現版。iphone用のMIDI再生用アプリとして登場した後は、PCのMIDI制作ソフト用VSTiとして販売されています。 今回のサンプルではデフォルトのSC-8820相当の音色になっています。…なぜかドラム&パーカッションの音が小さいですね。
EDIROL SD-90
GM互換
今回取り上げるMIDI音源の中では音色は最上級品。 …なのですが、残念なことに他のGM音源とバランス的な互換性に乏しく、多くの曲で音の強弱が思いっきり崩れます。
このSD-90は、専用のNativeモード用にMIDIを作ると真価を発揮します。これ専用と割り切って使うべき。
SD-90
GS互換モード
SDシリーズはGS互換モードを搭載していますが、最低限のみようで、前時代のSCシリーズとの互換性には乏しいです。SC-55mkII相当? SC-88用のMIDIファイルを聴きたいのなら、GS専用の音源を用意するのが良いかと思います。
SD-90
(調整後)
せっかくなので、軽めにSD-90用に調整してみました。SD-90の特徴は強い音響効果。これ未調整でも最初からこのような感じです。 この音源の神髄はNativeモードによるオーケストラ曲の表現です。あとギター系もいい感じ? このMIDIのような使い方ではなく、各種交響楽用の音色を組み合わせることでオーケストラの演奏ぽく聞こえる音源なのです。
EDIROL
Hyper Canvas
SD-90をGM2に特化したVSTプラグインタイプのソフトウェア音源。 かつて単独販売されていましたが、現在は作曲ソフトのSinger Song Writer シリーズ内に搭載されています。
SD-90に近い音色ですが、GM/GS規格のMIDI曲は、SD-90よりも音量バランスが良く扱いやすい印象です。そしてSD機に近い音色なので音そのものも綺麗。
YAMAHA
MU-100
今回のMIDIファイルとはなぜかバランスの相性が悪かったが、本来はかなり扱いやすい音源です。 音の綺麗さよりも全体のバランスと扱いやすさが重視されている印象の音源です。 調整の反応がダイレクトで分かりやすいのでエフェクトのかけ方などの勉強にも便利。
YAMAHA
S-YXG100
ソフトウェア音源で、おそらくMU100相当の音色と思われます。今回のMIDIでは音のバランスがMU100と異なりました。 全体的に良好で、音色がクリアな印象です。
YAMAHA
S-YXG50
こちらもヤマハのソフトウェア音源のSYXG50。上位版であるSYXG100は早々に消えたのに、このSYXG50は無償提供されたためか今でも?広く使われています。 マイクロソフトのWindowsアップデートで無償でダウンロードできます。
SGM-V2.01
こちらはこれまでのものとちょっと異なる、無料で手に入るサウンドフォント。 単独のMIDI音源ではなく、音色だけのファイル集合体なので、私はVirtualMIDISynthに取り入れて使っています。 音や音量のバランスがWindows標準シンセにまずまず近い感じですが、何より音が綺麗です。 ストリングスが特に。 MIDIファイルをいい音で聴きたい方は、とりあえずこれを使ってみるといいかと思います。 お金かからないし!
St.GIGA, et. al.
4GBC&C50_tmp
SC-88Proを再現したというサウンドフォントです。…そう云われれば SC-88Proをクリアにしたような感じの音という気もします、88Pro専用の音色じゃなくてGM互換のときの音色が。 88Proマップの専用音色は無理?  …ハチプロに似ているかどうかはともかく、フォントの音色自体は綺麗です。

※曲を再生するプレイヤーのレイアウトはwebをつくる人になる(ヌコ)様のものを使わせていただいています。