ディスクシステム資料



◆短期間だけやっていた!ゴルフJAPANコースのディスクライター書き換え販売


上のタイトル…というか見出しの通り、 実はディスクライターで書き替え販売してたー! ゴルフJAPANコース!

このページだけ見た方はなにを叫んでいるのかわからないでしょう。
実はゴルフJAPANコースは、ディスクライターで書き換え販売をしていなかった、と今まで結論付けていたためです。

というのも、以前ここには「ゴルフJAPANコースの書き換え販売はなかった」という 間違った記事を乗せていたぐらい、
ディスクライターでの書き替え販売が行われていた形跡がみつかりませんでした。

詳しくは↑のリンクを見ていただくとして、書き換え販売がなかったと判断した理由を簡単に挙げると…

  @ 雑誌に掲載される書換開始日予定表からJAPANコースの名前が突如消えた
  A ディスクカードカレンダー(書き換え対象ソフト一覧表)にJAPANコースの名前が掲載されたことがない
  B 実際に大量のJAPANコースのディスクカードの中身を解析するもいずれもパッケージ販売版であった

といった理由でこれまでに書き換え販売を示す資料が見つからなかったためです。
(実際にはそれぞれ覆す理由があるのですがそれは後述)

しかし私が無いと勝手に結論付けてしまっただけで、
実際にはちゃんとディスクライターでゴルフJAPANコースの書き換え販売が行われていた という強力な資料が発掘されました。


それがこちら!

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 資料提供:rimu0926 さん。 ありがとうございます!
※左の図はクリックすることで拡大表示できます。


任天堂からディスクライターを設置していた販売店へ出された通知書です。
ディスクライター本体にセットして使うソフトパック(書き換え用のゲームが入ったカセット)。
これの回収通達です。

なお個人名が入っている箇所は黒塗りの処理をしています。


へー。ディスクライターで書き換えできるソフトはいつもだいたい60本程度だったけど、
やっぱりこうやってラインナップの入れ替えをおこなっていたんだなあ。


なんて思いながら目にした、回収対象ソフトの5番目。


ゴルフ ジャパンコース


なんと書き換え販売はしていなかったと思い込んでいたゴルフJAPANコースの名前が記されています!


この任天堂の資料によれば、 ゴルフJAPANコースの書き換え開始日は昭和62年(1987年)6月14日。

ゴルフUSコースのパッケージ版の発売と同日です。
青ディスク第二弾となるUSコース発売と同時に、前作であるJAPANコースの書き換えが開始されていたようです。

ただ気になるのがこの通達書。これは9月度のソフトパックの回収のお知らせです。
そう、つまり ゴルフJAPANコースの書き換え販売期間は6月14日から8月まで。 返却期限 (9/20) のぎりぎりまで粘っても9月半ば程度まで(※)。
わずか2〜3ヶ月程度という極めて短い期間だけだったようです。

 ※…昭和62年9月度のディスクカードカレンダー(書き換え可能タイトル一覧表)には 上記の資料の返却対象ソフトはいずれも掲載されていないため、 任天堂側としては8月までの書き換えタイトルとして扱っていたと思われます。


あ、せっかくなのでついでに。
きね子IIの開始日が3月1日と記載されているのも何気に重要なところ。
このソフト、レトロゲームカタログ本などによっては5月と記載されているものもある。 しかし当時の販売実績などの資料を当たってみると実際には3月上旬には既に発売されていたようで、5月は誤り。
今回のソフトパック回収指示の資料も、きね子IIの「3月開始」を示す補強証拠になりました。




◆なぜ2ヶ月程度で書き換え販売を終了したのか…

他のソフトを見ると半年程度はディスクライターで販売しているのにも関わらず、 JAPANコースは異例の2ヶ月という短さ。
なぜこんなにもすぐ販売を終了したのでしょうか。

理由としてはごく一般的ですが、やはり販売不振だったのかも。 つまりディスクライターでの書き換え販売の需要がほとんど無かったのかもしれません。


ページの頭に、以前「書き換え販売はなかった」と考えた理由のBで挙げたように、 市場のディスクを調べてみても、JAPANコースへ書き換えた形跡があるものは見かけたことがありません。
この文章を書いている時点でのJAPANコース解析本数は実に74本。
しかしすべてがパッケージ版で、書き換え販売だったディスクは1つもありませんでした。


需要がなかったと思われる理由は 以下のようなものだと考えています。

JAPANコースは青色ディスクのゲームです。 そして青ディスクのゲームは青ディスクにしか書き換えることができません。

このJAPANコースの書き換え期間に存在した青ディスクは、 青ディスク第一弾のJAPANコースと第二弾USコースのみです。
つまり新作であるUSコースにしか、JAPANコースは書き込めなかったということになります。

しかもUSコースは6月14日〜8月31日までスコアアタック(全国大会)が開催されていました。
JAPANコースの書き換え可能時期はこのUSコース大会の期間中だけ。
既に大会が終わっているJAPANコースに、 わざわざ開催中のUSコースを消してまで書き換えるユーザーは ほぼいなかったのでしょう。おそらく。


なお、最初に挙げた、以前「書き換え販売はなかった」と判断した自分への反論は、
 @は、書き換え開始日が6.21→6.14と急遽前倒しになったため、雑誌次号の6.14欄から記載が消えてしまい、発売中止になったように見えた
 Aは、確認できる最古のディスクカードカレンダーが87年9月からのもので、既に書き換え販売が終了していた
です。



◆販売目的ではない、データ初期化のための書き替えはパッケージ版販売直後からあった。

JAPANコースに、同じJAPANコースを上書きして初期化する、というものです。

JAPANコースはディスクファックスというFAX機を通じてスコアを任天堂へ送ることができ、
これにより全国のユーザーとスコアを競う大会が開かれていました。

大会の応募に際してディスクカード内に自分の名前・住所・電話番号を登録する必要がありましたが、
登録後に一度でもディスクファックスでデータの送信を行うと、以後に住所等は変更できないようロックされていました。
(スコアを更新するたびに何度でも再応募できるのですが、個人情報は修正できない)

なので引っ越し等や結婚などで 個人情報を変更する必要が生じた場合、
「ディスクライターでの初期化(=新たにゴルフJapanコースで上書き)」という方法をとるよう、
任天堂からユーザーへ案内されていました


もちろん初期化にも書き換えの料金がかかりました。500円。


おまけ

パッケージ版と書き換え版、それぞれのJAPANコースのシール。


マニアックな人にしか分からないかもしれないけれど パッケージ版とは確かに違います。汚れのことじゃないよ
他の多くの書き替え用シールと同様の特徴がみられます。 線のシャープさと触れた際の質感・粒状感など。
無いと思っていたJAPANコースにも書き換え専用シールは存在していた! 個人的に感動に打ち震えています!


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